わたしは中学生のころから、村上春樹さんが好きなんですけどもね。
- 読んでみたいけれど、何から読めば?
- 一度読もうとしたけど、挫折しちゃった…
こんな方はまずエッセイを読んでみるのも、ひとつの手です。
とっつきにくさナシ。
ユーモアや日常を感じられて、距離が縮まるよ!
かくいうわたしも、エッセイを読みだしたのはここ数年。
もっと早く知ればよかったナァ…と少し後悔しています。
そこで今回は、村上春樹さんのおすすめエッセイを5冊ご紹介します。
ファンの人はもっと好きになり、初挑戦の人も楽しめる。
気分に合うものを見つけて、村上ワールドを堪能してみてくださいね☆
村上春樹さん【おすすめエッセイ5冊】
ここからご紹介する5冊。
挿絵たっぷりでゆるゆる読めるものから、仕事に切り込んだものまで、バリエーション豊富です。
著者の引き出しの多さも必見よ!
- ランゲルハンス島の午後
- 村上朝日堂
- 村上朝日堂の逆襲
- 走ることについて語るときに僕の語ること
- 職業としての小説家
端正でうつくしい文章のなかに、素顔がひょっこり見えたりして。
そのバランスがたまらん!
詳しくみていきましょう。
①ランゲルハンス島の午後
まず最初は「ランゲルハンス島の午後」。
この本を読んだきっかけは…
ジャケ買い。
そう、めちゃくちゃかわいいのです。
絵は安西水丸さん。
この2名のタッグの作品はたくさんあるのですが、どの本も文章と絵のバランスが絶妙だな~と感じます。
特にこの「ランゲルハンス島の午後」の挿絵は、すべてカラーなんです。
- ゆるりとシンプルな線
- 垢抜けた色使い
- 文具やマグカップなどの身近な物がおしゃれ。
そんな絵と呼応し合うかのような、伸びやかな文章が楽しめる1冊です。
「誰かに手紙を書くみたいに、ここに収められた文章を書いた」という著者のことばも納得。
絵と文章が心地よく寄り添っている、そんなイメージのエッセイです。
三回に一回はリンスで髪を洗ってシャンプーでリンスしてしまうし、シェービング・クリームを顔につけたものの髭を剃らずに洗い流して外出してしまったこともある。
「ランゲルハンス島の午後」(新潮文庫)村上春樹・著 42ページ
あれ?お茶目なのかしら。
著者のことをグッと身近に感じられて読みやすいので、初挑戦する方にもおすすめですよ。
②村上朝日堂
「村上朝日堂」は、著者の初エッセイです。
こちらの作品も、安西水丸さんとの共著。
絵と文章で会話をするような、2人の関係性にもほっこりしてしまいます。
小説のなかでもたびたび登場するのが、主人公の料理や食事のシーン、家事のシーン。
こまかい描写が気になったり、するよね。
エッセイにも発見しましたよ。
家に帰って切り干し大根を一時間ほど水で戻し、ゴマ油で炒め、そこに八つに切った厚あげを入れ、だしと醤油と砂糖とみりんで味つけし、中火でぐつぐつと煮る。そのあいだにカセット・テープでB・B・キングを聴きながら、人参と大根のなますと、かぶとあぶらあげのみそ汁を作る。それから湯どうふを作り、はたはたを焼く。
「村上朝日堂」(新潮文庫)村上春樹・著 105ページ
ごはんのことが気になるのは、わたしだけではない…ハズ!!
そのほかにも話題は映画のこと、引越しのこと、虫のこと。
バラエティに富んで面白い1冊です。
③村上朝日堂の逆襲
こちらは「村上朝日堂」のシリーズ第2弾、「村上朝日堂の逆襲」。
前作を読むと、続けて読みたくなりました。
このシリーズは「村上朝日堂 はいほー!」、「村上朝日堂はいかにして鍛えられたか」と続きます。コンプリートしたいシリーズです。
わたしたちにも手の届く範囲の話題が、テンポよく展開されていきます。
飽きさせない文章は本当にすごい…日常の観察眼や考察がビビッと感じられます。
目次も面白いよ~!
- 何故私は床屋が好きなのか
- セーラー服を着た鉛筆
- 不用物の集積について
まだインクが残っていて使用可能の状態にあるボールペンをごみ箱に捨てるというのは、ミネラル・ウオーターで歯を磨くのと同じくらい勇気を要する行為である。
「村上朝日堂の逆襲」(新潮文庫)村上春樹・著 139ページ
不用物の集積のはなしから、映画やお酒、中年に対する考察まで。
ぴょんぴょんワープしながら楽しめますよ!
④走ることについて語るときに僕の語ること
「走ることについて語るときに僕の語ること」は村上春樹ファンの方はもちろん、
- 走り続けるとどんな境地になるのか知りたい。
- なにかに継続して取り組みたい。
こんな人にもおすすめです。
実は「走る小説家」という一面もある村上春樹さん。
専業作家になられてから走り始め、フル・マラソンやトライアストン・レースにも果敢に挑戦されてきたのです。
走ることについて、丹念に綴られた本。
自身の「メモワール」のようだと述べられています。
走ることについて正直に書くことは、僕という人間について(ある程度)正直に書くことでもあった。
「走るときについて語るときに僕の語ること」(文春文庫)村上春樹・著 6ページ
上に挙げたほかのエッセイに比べると、自身の内面や肉体と向き合うような、静謐な空気が感じられます。
もちろん著者らしい比喩表現も、見逃せないポイントです。
緩めの肉挽き機をくぐり抜けている牛肉のような気分だった。
「走るときについて語るときに僕の語ること」(文春文庫)村上春樹・著 163ページ
100キロのウルトラマラソン中の著者。
読むことでしか覗けない世界だね…
走ることについて、心身ともに向き合った著者の紡ぐことば。
言うまでもなく、かなりの読み応えがありますよ!
\タイトルのもとになった本はこちら!/
⑤職業としての小説家
さいごは、著者が自らの職業について切り込んだ「職業としての小説家」。
村上春樹さんの小説を1冊でも読んだことがある人は、著者の頭の中が気になるのではないでしょうか?
小説が生み出される源泉って…興味津々だよ!
- 小説家になった頃
- 文学賞について
- どんな人物を登場させようか?
このようなトピックが具体例満載で語られています。
よく「小説の登場人物に、実在する人をモデルとして使いますか」という質問をされます。答えはおおむね「ノー」でありますが、部分的には「イエス」です。
「職業としての小説家」(新潮文庫)村上春樹・著 239ページ
気になる詳細は…読んで確かめてみて♥
このようなエピソードが、深ーく掘り下げられています。
小説と合わせて読むと、よりイメージがわきやすいかも。
文章を書くことに興味がある人にも、ぜひ読んでほしい作品です。
村上春樹さん【おすすめエッセイ5冊】まとめ
今回は村上春樹さんのおすすめエッセイを、5冊ご紹介しました。
気分に合わせてチョイスするのが楽しい☆
繰り返し読んでいる作品たちです。
ちょっと敷居が高いなーと感じている方も、エッセイなら構えずに読むことができますよ。
- ランゲルハンス島の午後
- 村上朝日堂
- 村上朝日堂の逆襲
- 走ることについて語るときに僕の語ること
- 職業としての小説家
文体に慣れてくると、音楽を聴くようなリズムが感じられるから不思議。
ぜひ村上ワールドを体感してみてくださいね!
ではまたすぐに
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